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特集 精神障害への理学療法・作業療法
最近の地域精神医療の動向―社会復帰の視点から
Recent Trends in Community Psychiatry from the Viewpoint of Rehabilitation
黒田 知篤
1
Tomoatsu KURODA
1
1北海道立精神衛生センター
1Hokkaido Mental Health Center.
pp.161-165
発行日 1980年3月15日
Published Date 1980/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102105
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Ⅰ.はじめに
編集室の依頼は,「新しい精神医学・医療の動向」というテーマであったが,筆者にはそれにふさわしい視野も学力も乏しい.精神衛生センターという特殊な場の席を汚し,北海道の地域精神衛生の実践を考えながら進めているつもりであるが,その中で,筆者なりに「新しい動き」と感じているものを述べることでお許しを得たいと思う.
昨年来日した米国衛生局次長B.S. ブラウン(元米国国立精神衛生研究所長)によれば1),現在の精神科医は7つのタイプに分類されるという.第1のタイプは,精神神経科医で,臨床的に精神医学と神経学を共に専門とする旧来のタイプ.第2のタイプは,いわゆる精神療法家でサイコダイナミックスに通じており,オフィスで診療を行っているタイプ.第3は,現在は主流を後退しつつあるが,正規の精神分析の訓練を受けた精神科医.第4は米国の若い精神科医の主流をしめている生物学的精神科医.第5は,全体の10%にも急増した小児精神科医.第6は社会精神医学を実践している精神科医.第7は,実験的,周辺的なグループであるという.我が国でもこの分類が通用しないとはいえないにしても,かなり様子のちがいを感じないわけにはいかない.強いていえば,精神科医療実践の主流は,第1のタイプによって担い続けられているといえるかもしれない.筆者は地域精神衛生活動に従事する精神科医であるから,第6のタイプに入れられることになろう.本稿が,いわば少数者の立場からの展望であることを御理解いただきたいと思う.
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