今月の主題 内科医に必要な精神科の知識
精神科疾患—最近の動向
宮本 忠雄
1
1自治医大精神医学
pp.1304-1305
発行日 1979年9月10日
Published Date 1979/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216026
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はじめに
精神科の扱う疾患には心理的な反応から脳器質性の精神病まで各種のものがあって,これらを同一のレベルで論ずることはできないが,しかし,身体疾患とくらべた場合,その時どきの社会や時代によって疾患のあり方なり病像のあらわれ方なりが多少にかかわらず影響をうけやすいということも,その顕著な特徴の一つと見なすことができる.たとえば,精神医学が向精神薬の導入その他の諸因子によって「壁の中の精神医学」(intramural psychiatry)から「壁の外の精神医学」(extramural psychiatry)へと体質の改善をせまられたのは,今から20年以上前の昭和30年前後のことだったと記憶するが,こうした変動のなかで精神科の疾患も少しずつ形を変えてきていることは疑いない.そこで,精神科疾患の最近の動向を展望するにあたり,この方面の知見を略述してみたいと思う.
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