特集 新しいリハビリテーション医療器具
<随想>
油圧式と電子式アイソカイネティク・エクササイザの利点と欠点
土屋 和夫
1
1労災義肢センター
pp.541
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101962
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1.はじめに
筋力強化訓練装置として数年来アイソカイネティク・エクササイザが注目されるようになってきた.筋収縮のメカニズムは,周知のように,等尺性収縮と等張力性収縮の二つの状態の組み合わせによる.Isokinetic Motionとは,これらの二種の収縮が継続的に微少時間ずつ交互に組み合わされた運動とみられる.これが訓練に有効といわれるのは,単にどの筋肉を収縮させるかという反射的な低レベルの神経支配系の訓練ではなく,もっと高次の運動中枢までの訓練を含んだ,“ダイナミック”なものがあるためであろう.
こうした目的を達するには,筋と同じ動作をする原動機があれば,油圧式であろうと電子式であろうと全く差異はない.しかし,後述するように,現在の油圧アクチュエータ,電動機とも本質的に筋とは異なった運動しかできないため,どちらがいいかという問題が起ることになる.本稿では工学的な立場で両原動機の比較をする.
筆者が専門としていた,制御工学分野においても,サーボメカニズムとして油圧式,電気式の優劣論が昔からくり返し論じられており,いまだに結論は得られていない.その理由は,いずれも理論と生産品のギャップがあり,まだ完全にはその欠点を克服していないことにある.それゆえ,比較論も欠点の方に重点をおいて述べる.
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