The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 12, Issue 10
(October 1978)
Japanese
English
特集 ダウン症と理学療法・作業療法
ダウン症の知能・性格の特徴と育て方
Development of Intelligence and Personality Traits in Children with Down's Syndrome
池田 由紀江
1
Yukie IKEDA
1
1筑波大学心身障害学系
1Institute of Defectology, University of Tsukuba.
pp.671-679
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101768
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はじめに
ダウン症候群は昔から特異な症状をもつことで知られていたが,最もはじめに記載したのはダウン(Down, J.L.,1866)である.彼は身体症状については「髪は……褐色がかっており真直ぐで乏しい.顔は平たく凹凸が少ない.頬は側方に張出している.目は斜についており,内側眼角は通常よりも互いに距離が開いている……」と述べ,知能について「それは常に先天性白痴であり……」といい「知能の点で互に非常に似ている」と論じている.すなわち,ダウン症候群の知能の障害は重く,しかもその程度は同じ範囲にあるものが多いということが指摘されている.また,性格行動について「彼らは相当な物まねの能力があり,道化役者に似ているユーモラスであり,生々とした滑稽のセンスがその物まねの特徴である」と述べている.
ダウンの報告以後,ダウン症候群についての非常に多数の研究があり,1959年,その原因が染色体異常であることが発見され,医学面ではより一層の研究が進んだ.
しかし知能・性格の特徴に関する限りまだ充分に解明されたとは言えず,従ってダウン症児の治療訓練の方法は確立されたとは言い難い.日本では20年前まではダウン症候群と診断がつくと「早死します,家で大事に育てなさい」「施設に入れなさい」と言われることが多かったけれども,現在では医学的問題をかかえつつも早期から(生まれた直の後に診断できるのであるから“超早期”から)の正しい養育をすることによって,子供の能力を充分のばすことができるようになってきている.
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