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特集 PT,OTにおけるリスクとその対策
運動療法に於けるリスクとその対策―成人・老人
Countermeasure for risk of physical therapy.
駒沢 治夫
1
Haruo KOMAZAWA
1
1北村山公立病院
pp.13-18
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101145
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運動療法に於けるリスク管理の範囲を何処までにするかが,一つの問題でもある.何処までするかに依って当然,その内容も違って来る.「危険が予想される状態でそれをあえておかして何事かをする」とするリスク管理を単純に考えた場合,一般に訓練を行なっている現在への影響のみに限定し,将来予想されるところまで拡大して解釈しないのではないかとするならば,一般に使用されている訓練の安全性の概念の範畴に入るのではないだろうか.しかし,これを拡大し将来予想されるものをも含めるならば,訓練の未熟な人から熟練した人との間に生ずる治療効果の差も,一つのリスクと考えられるのではないか.その他にも,学生が臨床実習で行なう治療を,スーパーバイザーが付添って監督をしながら行なってもスーパーバイザーが患者を受持ち治療をした場合の方が,学生が受持った場合より,より効果があることも予想される.この場合も一つのリスクとも考えられる.このようにその範囲は非常に拡大されることから,ここでは純粋な,運動療法に於ける物理的作用に併なうリスクに重点をおくことにした.
リスク管理は,リスクを起さないようにすることで,起しうるデータを集積することは出来ないために,管理そのものに困難性をもっている.しかし,あえてそれをやらなければ,患者は常に危険にさらされていることにもなる.
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