The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 9, Issue 12
(December 1975)
Japanese
English
展望
身体標準値とその読み方
The Standard Measure of Man.
矢野 英雄
1
Hideo YANO
1
1都補装具研究所
pp.849-859
発行日 1975年12月15日
Published Date 1975/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101131
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いずれの身体標準値を得る場合にも,人が,計測を行うことによって得られる,今日計測を要する分野の拡大と共に,互に他分野との交流が盛となって来たが,この際,言葉の定義,或いは吟味を行っておく事は大切な事であると思われる.人体に限らず,物を計る場合,測定と計測とは同じ意味として使われるが,本来は計量測定が計測に連らなる用語であり,計測の方がより狭義の測定という解釈がなされる.生物計測学(Biometria)においては,特にこれを区別している.測定と云えば,単に“計る”ことを意味する.もう少し,正確に云えば,或る基準と身体のdimension,capacity,quantityを比較する事である.これに対して,計測と云う言葉のもつ意味は,“身性のうち,その数量的方面を精密に測定し,且つ,これに正確な数学的解析を下すものである”と云われる(時としては数量的資料を指すものもある)4).
以上述べた測定と計測の違いはつの有力な見解である.通常人体計測といえば,この形態学方面の測定を指すとされるが,生理学の方面からでは,生理現象に関する因子の測定となり,機能学の方面からでは,関節の運動域,動作範囲等に対する,大小,広狭,軽重,量,を測定する事となる.これらの事は,人間はあらゆる方面から測定されねば“身性の追求が確実に出来ない”事を意味している,又これら各分野の測定は常に,普遍化し得る計測系に移す事を念頭に行わねばならない.
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