今月の主題 水電解質と酸塩基平衡
酸塩基平衡の基礎と臨床—最近の話題
血液ガス値の読み方
黒川 清
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.790-792
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220342
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酸塩基平衡の病態を理解し,臨床の場に応用するには,血液ガス値の読み方とその解釈を的確に行うことが第一歩である.血液ガス測定では,通常動脈血のpCO2,pHが測定され(Arterial bloodgas=ABGと略す),HCO3-はHenderson-Hasselbalchの式から計算される(表1).Acidosisとは体内にHCO3-を下げる(代謝性)あるいはpCO2を上げる(呼吸性)病態が,またAlkalosisはHCO3-を上げる(代謝性)あるいはpCO2を下げる(呼吸性)ような病態の存在することをいう.従って複数のacid-base disorderが共存する場合(mixed acid-base disorder),血液のpHはacidosisがあるからといって必ずしもacidemia(pHが7.40以下ということ)になるとは限らない.
本稿では,われわれの使っているABGの読み方について,例を示しながら簡単に解説した."Base excess"は使用せず,実際のpH,pCO2,HCO3-を分析する.
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