Japanese
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特集 訪問指導とその問題点
地域医療の問題とPT,OTの役割
Role of P.T. and O.T. in medical service in a community.
三島 博信
1
Hironobu MISHIMA
1
1洞爺協会病院リハビリテーションセンター
pp.91-95
発行日 1974年2月15日
Published Date 1974/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100775
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まえがき
リハビリテーション医療は発病時より家庭までといわれていますが,考えてみれば随分難かしい問題であるといえましょう.
私達が手がけた障害者が機能を回復し,障害を克服し,日常生活動作が自立出来たとしても,それには当然のことながら限界があり,病院や施設内で適応し得たとしても,彼等の帰ってゆく家庭や社会の環境は様々であり,必ずしもその環境に充分適応出来るとはいえません.
一人でも多くの障害者が自立出来る様にするためには社会的,経済的側面よりのアプローチ――すなわち,福祉社会の充実であり,身体機能を維持するためのリハビリテーション施設の普及化が必要です.しかし,これにも多くの問題があります.
私が体験的に感じていることは,障害者が自立するための一番大きな要因は精神的,心理的因子ではないかということです.この面に関する働きかけは“教育”ということになってしまうのかも知れません.
私達は“障害”を治療しているのではなく“障害をもつ人間”の治療をしているということを忘れてはならないと思います.そのためには,社会を知り,障害者の実態を理解しないで毎日の治療は出来ないといえましょう.
私達の施設では主として脳卒中後遺症者の医療を行なってきていますが,北海道における地域社会への正しいリハビリテーションに対する理解と認識を普及し,実際にサービスをするためと,リハビリテーションスタッフの教育のために,昭和43年以来,毎年定期的に,保健婦の教育,無料巡回診療,市町村における在宅患者の居宅訓練指導,退院患者の追跡調査,地域片麻痺患者の実態調査を行なってきましたので,その経験を紹介してみたいと思います.
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