特集 第8回PT学会・第7回OT学会
治療効果のとらえ方―第7回日本作業療法士学会特別講演
佐久間 昭
1
Aki SAKUMA
1
1東京医科歯科大学,難治疾患研究所,臨床薬理
pp.883-887
発行日 1973年12月15日
Published Date 1973/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100744
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1.科学的な考え方とは
「治療効果をどのようにとらえるか」,これは著者の専門である薬を例にとって考えてみた場合,薬が病人,あるいは正常人に与えられたときにおこるいろいろな反応,効果をとらえるということになるが,一体何をもってその薬が効いたと判断するかは中々むずかしい問題である.卑近な例として「狭心症」という胸がしめつけられるように痛くなる病気の場合を考えてみよう.
ある薬を考えたとき痛みが感じられなくなったという事をもって「効果あり」とするのが普通であるが,この場合,その痛みが感じられなくなったのが,実際は痛みを起しているのに,本人が感じなくなったのか,あるいは痛みを起こす原因が消え去ったのか.痛みをおさえたという症状消失をもって差し当り効いたと考えられているが,これをうっかり間違えると,「狭心症の患者に酒をのませると気分が良くなって,痛みがあってもそれを感じなくなってしまう.したがって酒を飲ませるのが一番良い治療法だ」という考え方に導かれてしまう.
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