Japanese
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特集 重症心身障害児とPT・OT
重篤な重症心身障害児の介護
Nursing care for the severe physically and mentally handicapped children
原田 あや
1
Aya HARADA
1
1島田療育園
pp.111-116
発行日 1970年4月9日
Published Date 1970/4/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100304
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はじめに
1.重症児の定義
重症児の定義は,昭和42年8月に児童福祉法の改定に伴って決められた.その定義が固められる前,昭和36年から収容を開始した当園では,現在約半分近くがこの定義からはずれた障害児で占められている.この現状において,しかも現在の収容児をすべて重症児と見なすことが許されるとすれば,次の4種類に分類することができる.
(1)重篤な重症児
(2)動けない重症児
(3)動ける重症児
(4)動きすぎる重症児
(1)と(2)は合わせて動きえない重症児,あるいは寝たきりの重症児,(3)と(4)は動きうる重症児とも言いえよう.なお,療育の面から見れば,(1)と(2)は医療管理が濃厚である必要があり,(3)と(4)は療よりは育のほうに重点がかかるものである.
この4分類のうち,(1)と(2)とが現在の重症児の定義に該当するわけであるが,現実の収容面からすれば,(1)はきわめて濃厚な医療管理の下になければならない関係から,医師や看護婦確保がきわめて困難な現実においては,当然重篤なるものは受け入れられがたいということになる.幸いにも当園は比較的医師と看護婦とにめぐまれている立場にあるようなので,この残されがちな重篤な重症児の収容をひきうけざるをえないことになり,今日までその方針を貫いてきたわけであるが,それに伴う失費や苦労からはかなりマイナスの面があるにしても,本来の目標が社会福祉にあることを忘れずに,私たちは努力してきたつもりである.そうした努力の一例をここに掲げたのは,この重篤な重症児の介護は,今後どうあるべきかを考えたいからなのである.
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