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特集 手の外科とリハビリテーション
手の外科とリハビリテーション
Hand Surgery and Rehabilitation
山内 裕雄
1
Yasuo YAMAUCHI
1
1順大整形外科
pp.2-4,7-13
発行日 1969年8月9日
Published Date 1969/8/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100234
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はじめに
上肢が歩行(匍匐?)器官であることをやめたときに人間の歴史ははじまり,そして‘手’により歴史が書きかえられてきた.逆に‘手’が手であることをやめたときに,人間は‘ヒト’であることを否定される.
手が外傷・疾病などで本来の機能を失った場合の全人間的な苦悩を考えて,われわれは患者に接し,治療しなければならない.それゆえにこそ,手の外科の特殊性・重要性があり,また局所的な,手術的な療法に終わることなく,理学療法,作業療法,職業訓練などの一貫した治療が必要となってくる.
外国の‘手の外科の大家’といわれる人で,手の外科にリハビリテーションは必要ではない,患者本人がPTであり,医師が治療士であると公言する人がある.これは,ある意味では,逆説的であって,手の外科治療の原則をわきまえない療法士にいっさいをゆだねるのは害があるのみで,医師が治療終了時まで責任を負うべきであるという意味があるのであろう.この点は,筆者も日常痛感しているところであって,外傷後,毎日漫然とマッサージのみに通わせて,いっこうに拘縮がとれていない不幸な症例に遭遇すると,手においての正しい理学療法がいかにたいせつなものであるかと思う.本文では,実際に日常治療にあたっておられるPT・OTの方がたに医師の面からではあるが,知っていていただきたい基本的なことのみを重点的に述べてみたい.
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