とびら
リハビリテーションにおける医学面と職業面―戦中戦後の経験をもとに
水野 祥太郎
1
1大阪大学教授整形外科
pp.3-8
発行日 1967年5月9日
Published Date 1967/5/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100017
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リハビリテーションにおいて,いまわが国では職業方面と医学方面の間に大きいギャップがみられているようである。行政的に,厚生省と労働省に管轄がわかれているところに問題があるとはいえ,実際にリハビリテーションを日々遂行しているものの側にも,考えるべき問題は,ないであろうか。
理学療法といい作業療法といい,これは対象たる患者の側からすれば社会復帰への単なる過程にすぎないのであって,医療から社会へまでの仕上がりを容易ならしめる道筋ではあっても,もともとそれ自体で独立して存在を主張するていのものではない。もちろん,リハビリテーションのこの過程を理学療法という大きい2部門に分け,それぞれに専門化した技術者をつくり上げたことによって,リハビリテーション,とくにその医学面の効果のあがったことは否むべくもない。しかし,この分化が同時に職業方面への効果があげられるようなものでなければならないのはいうまでもないと思う。私はここに,一医家として職業面にまでふかく立入った戦中戦後の経験をしるして,リハビリテーションの医学面と職業面についての関連の問題にまで言いおよびたいと思う。
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