特集 中耳真珠腫最新の知見—病態から治療まで
III.後天性真珠腫・病態
中耳真珠腫の分類
森山 寛
1
1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.801-805
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210382
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I.はじめに
真珠腫の中にはいろいろな病態のものが存在し,真珠腫の病態の分類ということは今日まであまり試みられていなかった。しかし真珠腫といってもさまざまな病態を含んでおり,手術の方法や成績を論じるに当たって,すべての真珠腫を一様に論じることは適切ではない。
筆者の教室においては後天性中耳真珠腫の生成機転を研究1,2)しているが,後述するようにそれは大きく2分して考えることができる3,4)。すなわち弛緩部型と緊張部型である(図1参照)。この分類は偶然であろうか。病態がきわめて対照的であり,成因のみでなく治療を討議する場合も合理的な分類と思われる。前者は一般に上鼓室型真珠腫と,後者は癒着性真珠腫と呼ばれることもあるが,この名称に関しても図1,6を参照されたい。
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