特集 中耳真珠腫最新の知見—病態から治療まで
III.後天性真珠腫・病態
真珠腫における骨吸収機序
高坂 知節
1
,
栗原 篤
1
,
富岡 幸子
2
1東北大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2東北労災病院耳鼻咽喉科
pp.807-815
発行日 1987年10月20日
Published Date 1987/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210383
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I.はじめに
抗生物質の出現によって単純性中耳炎における合併症が減少した現在でも,真珠腫では骨破壊が高頻度かつ広汎に生じ,種々の合併症をもたらすことはよく知られた事実である。
Yuasaら1)は真珠腫で244耳中208耳(85.2%)の骨破壊を認めたのに反して,非真珠腫性中耳炎では387耳中38耳(9.1%)にすぎなかったと述べている。Sadeら2)も上鼓室の真珠腫では82.5%,retraction pocketでは83.4%,単純性慢性中耳炎では25.4%の耳小骨になんらかの骨破壊がみられたとYuasaらと同様の報告を行っている。
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