鏡下咡語
耳鼻科の三代目達
三好 彰
pp.1042-1043
発行日 1986年12月20日
Published Date 1986/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210236
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「売り家と唐様で書く三代目」という言葉を聞いたことがあります。なんでも,初代が苦労して築き上げた身代を,その苦労を見て知っている二代目は引き次いで順調に発展させて行くが,苦労知らずに育った三代目は湯水のように放蕩に使ってしまい,とうとう持家を手放す事態にまで至るはめになる。ところが持家を売ろうとするその貼紙さえ,三代目はひまに飽かせて習得した優雅な唐様の文字で書いている,という風景を皮肉ったものだそうで,言うなれば三代続くということがいかに難しいことかを指し示す言葉なのだそうです。
ところがこの三代続けるという難しさを何とかこなし,今なお家も売らずに頑張っている耳鼻科医三世が,日本全国で100名前後いるとお話し申し上げたら,この文をお読みの皆様は驚かれるでしょうか。確かに,学会創立以来92年しか経ていない日本耳鼻咽喉科学会にとって,この100名前後という人数はかなりの数であるということができると思われます。
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