特集 めまい—問診から治療まで
IV.疾患
末梢前庭性めまい疾患の診断と治療
野末 道彦
1
1浜松医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.799-807
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210199
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はじめに
末梢前庭性めまい疾患というと,Ménière病,めまいを伴う突発性難聴,良性発作性頭位眩暈症,前庭神経炎などがその主な疾患である。しかしさらに外傷や炎症により内耳に障害が起こりめまいや耳鳴,難聴をきたす疾患は稀ならずある。また上記のごとき明確な診断はつけられないが,内耳障害が原因と考えられ,いわゆる耳性眩暈と診断される症例も多い。さらに聴性脳幹反応(Auditory Brainstcm Responsc, ABR)やCTによる診断技術の進歩により内耳道内の聴神経腫瘍の発見が容易となってきている。したがって本稿では内耳および前庭神経の障害によって起こる上記のごときめまい疾患につき述べるとともに,これらと似た症状を呈する中枢疾患との鑑別診断についても若干触れることとする。なおMénière病については別項で詳細に触れられるので,他のめまい疾患との鑑別上の重要な点のみを簡単に触れるにとどめる。
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