特集 頭痛・めまい・しびれ・疼痛―慢性化のメカニズムと治療
めまい
《めまいの一般的病態と慢性化のメカニズム》
一側末梢前庭障害
北原 糺
1
,
山中 敏彰
1
1奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学
キーワード:
静的前庭代償
,
動的前庭代償
,
前庭小脳
,
前庭神経節
Keyword:
静的前庭代償
,
動的前庭代償
,
前庭小脳
,
前庭神経節
pp.1249-1252
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika127_1249
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Summary
▪一側内耳の前庭障害により生じた前庭系の左右不均衡は,中枢前庭系の神経可塑性,すなわち前庭代償によって是正される.
▪静的前庭代償の初期過程では,前庭神経核間の交連線維や前庭小脳により,健側前庭神経核ニューロンの自発発火が抑制され,左右の前庭神経核ニューロンの活動性の不均衡が是正される.
▪静的前庭代償の後期過程では,低下していた障害側前庭神経核ニューロンの自発発火が回復する.
▪動的前庭代償では,健側前庭神経核ニューロンからの交連線維を介した入力により,障害側前庭神経核ニューロンの回転刺激に対する反応性が回復する.
▪静的代償は速やかに完成されるが,動的代償が不十分な場合は平衡障害が慢性化する.
▪動的前庭代償には健側からの前庭入力が重要であるため,一側前庭障害患者はめまいの急性期を過ぎれば早期に離床し,前庭リハビリテーションを行うことが勧められる.
© Nankodo Co., Ltd., 2021