特集 扁桃—今日の臨床指針
II.扁桃炎の基礎
病理組織学的にみた扁桃
小泉 富美朝
1
1富山医科薬科大学医学部病理学教室
pp.763-769
発行日 1985年10月20日
Published Date 1985/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210024
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はじめに
病理組織学的に日常検索できる扁桃炎は習慣性扁桃炎と病巣扁桃であるので,ここでは主にこれらの扁桃炎の光顕像について述べる。
今回使用した扁桃材料は本学耳鼻咽喉科学教室で摘出された習慣性扁桃炎56例(小児28例,成人28例)および血尿と蛋白尿などの腎炎症状または掌蹠膿疱症などの皮膚症状を有する病巣扁桃14例(小児6例,成人8例)に,対照として剖検例扁桃20例(小児7例,成人13例)を合わせた90例でいずれも口蓋扁桃である。ここで取り上げた習慣性扁桃炎は年に3同以上の急性扁桃炎を繰り返した慢性扁桃炎を指している。組織学的検索には各例の両側扁桃をそれぞれ縦割断し,2mmの厚さの間隔で連続切片を作り,金切片につきパラフィン切片標本を作製し,HE染色のほかに種々の特殊染色を施して光顕的に観察した。
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