特集 扁桃—今日の臨床指針
II.扁桃炎の基礎
細菌学的にみた扁桃
小澤 敦
1
1東海大学医学部微生物学教室
pp.757-762
発行日 1985年10月20日
Published Date 1985/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492210023
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
生体の外界に接する皮膚・粘膜面には常在細菌叢が存在し,これは宿主生体との間の馴化性が強く生体の防御機構によって排除されないで強い共生関係の成立している定住菌群resident floraと,生体との間に弱い共生関係をもつ暫住菌群transient floraとによって構成されている。これら常在菌叢と宿主との間の相互関係の中で常在菌叢の位置づけを考える時,これは宿主側要因としての機能と,宿主に対する環境要因的作用という二面性を具えていると考えることができよう。このような二面的機能は一つには生体防衛的作用として意義をもつものであり,他方では組織傷害的あるいは疾患発現的な機能を発揮するものと考えられる。このような立場を基本として常在菌叢と扁桃という相互関係を考察し,扁桃感染症をめぐる諸問題について私見を述べてみたいと思う。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.