特集 耳鼻咽喉科CT診断
CT読影の実際
口腔・咽頭疾患
鈴木 宗治
1
,
桑原 雄二
1
Soji Suzuki
1
1東京医科歯科大学医学部放射線科
pp.823-830
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209510
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I.はじめに
口腔および咽頭部の疾患に関する限り,X線コンピュータ断層撮影(以下CT)以前の放射線学的診断法の役割は決して大きなものではなかった。単純X線写真や断層写真により骨および歯牙の変化を観察したり,高圧撮影や陽性造影剤を用いた造影撮影によって軟部組織や腫瘍などの膨隆の範囲を診断することなどがその主たるものにすぎなかった。
これら従来の診断法に比較して,CTでは,筋肉・血管・リンパ節などの軟部組織や,その周囲の脂肪組織が明瞭に識別できるという点で,口腔および咽頭部病変の放射線学的診断に新しい視点をもたらした。特に口腔底部や咽頭周囲の複雑な解剖構造が断層像上に描出される事は,診断上の価値のみならず,手術や放射線治療にも影響を及ぼすこととなった。
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