鏡下咡語
薬は泣いている—無駄に捨てられる大量の薬
村井 敬爾
pp.1080-1081
発行日 1979年12月20日
Published Date 1979/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209016
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最近,薬漬け医療という言葉をよく聞く。その原因を,患者側は医師の乱診乱療によるとし,診療者側は患者の乱受診乱療養のためとし,互いに非は相手側にあると主張している。
果たしてその実情はどうかと思い,その一面を調査すべく,某町の塵芥処理場に依頼して,そこに捨てられた薬剤を1カ月間拾い集めて貰つた。忙しい勤務時間の合間に,眼に写つたものの中で綺麗なものだけを選んで集めて貰つたのだが,汚れていたり,塵芥の間から少しだけ顔を出していたが,面倒で拾わなかつたものが多数あり,拾い集められたものはそれらの約1/10位と推定された。なお,この他に新聞紙等に包み込まれたり,袋等に入れられたり,塵芥に入り混つて眼にふれなかつたものも相当数量あつたと考えられるが,集められたものが,全体の1/10として合計して見ると,第1表に示すように,薬価計算で大体36,800円となる。この10倍,つまり368,000円が1カ月間に捨てられる。1年間には368,000×12=4,416,000円となる。
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