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無駄のない研修
岡田 唯男
1
1亀田総合病院家庭医診療科
pp.29
発行日 2003年11月30日
Published Date 2003/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102446
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現在,家庭医後期研修医(シニアレジデント)の3年間の研修と,初期研修医(ジュニアレジデント)の1カ月の家庭医療学選択研修のカリキュラム作成,運営を担当しています.最近立て続けに複数の研修医(シニア,ジュニア)からよく似た苦情を受けました.「XX科のローテーションは無駄が多すぎます」「今やっていることは家庭医になるのに役立つとは思えません」「回っている科のなかで本当に必要で役に立つ知識や技術だけエッセンスとして集中的にビデオ教材やワークショップで詰め込めばもっと短期間で済むのに」.
もしかしたら,彼らは有名予備校の人気講師の授業や大学でのテーマごとのまとまった講義を期待しているのでしょうか.日本の研修施設では,教育のためだけに給料をもらっている指導医はまず存在しません.ほとんどの指導医は,多くの患者を抱える忙しい環境のなかで,それでも若い研修医の力になろうと指導の時間を捻出しています.そもそもスライドやビデオ,図解などでわかりやすくまとめられた教科書,教材,講義がある予備校や専門学校と卒後研修とは根本的な違いがあります.前者は学ぶ側が学習の対価として教育の提供者にお金を支払うが,研修はそうではなく,逆に少ないながらも給料をもらっているはず.そして教育の提供者(指導医)と学ぶ側(研修医)との間に金銭のやり取りはない.その違いはどういう意味なのでしょう? 研修医から指導医に教育の対価は支払われていないのでしょうか?
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