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特集 こんなときどうする? 術中・術後のトラブル対応
《咽頭・喉頭・頭頸部領域》
気管カニューレ(気管切開孔)から大出血した
Massive bleeding from trachea-innominate artery fistula
益田 宗幸
1
,
福島 淳一
2
Muneyuki Masuda
1
,
Junichi Fukushima
2
1国立病院機構九州がんセンター頭頸科
2国立病院機構九州がんセンター形成外科
pp.72-74
発行日 2018年1月20日
Published Date 2018/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201488
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●こんなとき…
【症例】61歳,男性。気管膜様部へ浸潤を認める頸部食道癌(cT4N2M0)に対してFP併用CRT 70.2Gyを行い,いったん完全奏功(CR)となった。しかし,治療終了後5か月で原発巣再発rT3N0M0をきたしサルベージ手術を行う方針となった。
腫瘍下端は胸骨上縁を超えて下方へ進展しており,咽頭喉頭頸部食道摘出術(気管8リング切除),両側頸部郭清術,遊離空腸再建術と併せて縦隔気管孔造設術を行った。当科では CRT後のサルベージ縦隔気切孔の造設に際し,気管壁の血流を保つために残存気管を極力剝離せず,移動(腕頭動静脈間などに)させない,無理に引き出さないことを基本としている1,2)。また,大胸筋弁への筋体を気管と大血管の間に充塡し,胸骨鎖骨の切断面を完全に被覆する形で手術を行うことにしている。本症例もこの方針で縦隔気管孔の造設を行った(図1a〜c)が,術後10日目,気管断端の6時から10時方向で気管壊死を認め,創部が離開し腕頭動脈の露出を認めた。再手術を行い,大胸筋皮弁を外し,壊死した気管を,血流が十分に確認できるまで1リング程度除去した。大胸筋皮弁の血流は良好であったため,再度筋体を気管と腕頭動脈間に充塡する形で閉創した。その後,気管や大胸筋皮弁の壊死所見なく,感染兆候も出現せず良好に経過していたが,再手術後15日目の気管孔処置時に突如縦隔気管孔から大出血をきたした。
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