連載 知っておきたい医学情報・2
気管カニューレの種類と使用上の留意点(1)―気管カニューレの種類
堀口 利之
1
,
鈴木 康司
2
1東京医科大学耳鼻咽喉科学教室
2東芝病院耳鼻咽喉科
pp.135-140
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901776
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はじめに
気管切開術とは呼吸困難を救う目的で気管を開窓し気道を作成する術式である.外科手術としてのその歴史は極めて古く,3600BCのエジプトでも行なわれていたと言われているが,ペルシャのAsclepiadesが歴史上初めて気管切開術を行なった人物とされている.西暦100年頃には,Aretaeusが気管切開について記載しており,15世紀ルネッサンス盛期にこの手術の成功をみたというが,気管切開術が一般に普及するにはさらに数世紀を要した.
1799年,George Washingtonは急性喉頭蓋炎の為と考えられる上気道閉塞で他界した.当時彼の主治医は,気管切開のことは知ってはいたが,未経験であり施術をためらったと言われている.1940年代には全世界的な小児麻痺の流行があり呼吸管理の重要性が認識され,Chevalier Jackson(1865~1958)らにより気管切開術は普及され,基本的に今日と同様の術式が確立された.
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