創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
咽喉頭—症候と疾患
嗄声・無声
一色 信彦
1
1京都大学医学部形成外科
pp.807
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208751
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嗄声の原因
嗄声は喉頭各種疾患の共通症状である。その原因は,1)声帯肥厚,2)声帯腫瘍,3)声門間隙,4)声帯物性の変化に大別しうる。このうち特に従来の方法と変らぬもの,他項目と重複するものはなるべく避けて述べる。
1)声帯肥厚:急性喉頭炎などについては多くの場合,無理をしなければ自然緩解をみるが問題は慢性肥厚性声帯炎,声帯浮腫,蛋白同化ホルモンによる声帯肥厚である。いずれも難治であるが,副腎皮質ホルモン(ケナコルトA)の局注をまず試み,また消炎酵素剤を試みる。それでも無効な場合,特に浮腫に対しては全麻下ラリンゴマイクロにより声帯のストリッピング(上皮をうすくはぐ)を行なう。蛋白同化ホルモンによる男性化音声に対しては,指で輪状甲状軟骨を接近せしめ,声が高くなるようであれば,輪状甲状軟骨接近術を局麻下に行なう。
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