カラーグラフ 目でみる耳鼻咽喉科
滲出性中耳炎—鼓室ドレーン留置
茂木 五郎
1
1山口大学耳鼻咽喉科
pp.726-727
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208706
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滲出性中耳炎の治療法として鼓室ドレーン留置が行なわれているが,いくつかの問題点がある。材資はテフロンで,型は中くぼみ太鼓型(grommet)がよい(第1図)。貯留液採取の目的で,第2図のような器具を用いると粘稠な液でも得られる。第3図はgrommmet挿入器,鼓膜切開用メスおよび耳鏡を示す。操作は手術用顕微鏡下で行なうのがもつともよいが,手術用ルーペでも可能である。麻酔は第4図に示すイオントフォレーゼ鼓膜麻酔法が優れており,4〜5歳の幼児でも行なえる。留置の位置は,一般には第5図の如く前下部が多いが,著者はできるだけ前上部を選んでいる(第6図)。理由は,第7図のように鼓膜表面に流出した貯留液は下方にたまるが,前上部に留置した場合は貯留液の鼓室内への再流入やgrommetの閉塞が生じ難い。第8図は前下部に挿入した例であるが,血液と貯留液が凝固し,ドレーンを閉塞,挿入5日後にgrmmetの除去を余儀なくされた。そのほか前上部に留置した場合はgrommetの装着が良く.耳管開口部に近いのでventilatlonの効果がよい。第9図は16名(4〜55歳,中間年齢8歳)27耳の挿入前後における聴力の平均を示す。
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