特集 良性腫瘍
臨床
鼻・副鼻腔の良性腫瘍—特にそのborderline caseについて
粟田口 省吾
1
,
熊谷 宏
1
,
今 一郎
2
,
菊池 和彦
2
,
蝦名 博
3
,
鎌田 重輝
4
,
平岡 真理子
4
,
袴田 勝
4
,
笠原 正明
4
1青森県立中央病院耳鼻咽喉科
2青森労災病院耳鼻咽喉科
3青森市民病院耳鼻咽喉科
4弘前大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.833-839
発行日 1977年10月20日
Published Date 1977/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208568
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耳鼻咽喉科の教科書1)〜3)や一般成書4)によればおおむね,第1表に示すような疾患が鼻・副鼻腔の良性腫瘍としてあげられている。これら良性腫瘍のうちには悪性腫瘍と鑑別診断が比較的容易で,その治療も速かに,かつ,完全に行ない得るものが多いが,なかには良性か悪性か区別がつかず,鑑別診断が困難な例もあり,また良性であつても,ときには悪性化するものもあり,さらに,本来は良性腫瘍として認められていても,鼻・副鼻腔領域の局所解剖的な構造が複雑で,臨床的には治療が頗る困難で,悪性腫瘍の予後と同様な結果に終るものも稀ではない。以下,従来,われわれが経験した症例を基礎として,良性と悪性との境界にあると思われる腫瘍,あるいは良性腫瘍の悪化例,さらに,良性でありながら,完全に摘出することが困難で,遂には不幸な転帰をとつた腫瘍の例などについて記載してみたい。
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