特集 良性腫瘍
臨床
咽頭の良性腫瘍
古市 暢夫
1
,
若山 徹
1
1埼玉医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.841-848
発行日 1977年10月20日
Published Date 1977/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208569
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咽頭の臨床解剖によれば,咽頭は頭蓋底から第6頸椎体上縁に位置する食道入口部に至る粘膜で覆われた管状をなしており,この内腔を咽頭腔といつて臨床的には上咽頭・中咽頭・下咽頭の三部分にわけられているが,その境界は厳密なものではなく,上咽頭と中咽頭は軟口蓋下縁で,中咽頭と下咽頭は喉頭蓋上縁で区分される。組織学的にみると,咽頭の粘膜は各部で差異がみられる。すなわち上咽頭は線毛上皮であるが中・下咽頭は重層扁平上皮であり,リンパ組織は上咽頭がもつとも多く中咽頭から下咽頭にかけて次第に少なくなつている。
したがつて咽頭の良性腫瘍を記述するにあたり,上咽頭・中咽頭・口蓋扁桃(中咽頭に属するものであるが組織的にもまた臨床的にも特異であるため独立して分類した)・下咽頭の4部に分け,咽頭に原発する腫瘍に限定し,隣接臓器より進展してきた腫瘍は除外することにした。
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