特集 良性腫瘍
基礎
脂肪腫
笠原 正男
1
1名古屋保健衛生大学医学部病理学教室
pp.753-761
発行日 1977年10月20日
Published Date 1977/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208560
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I.はじめに
脂肪腫(Lipoma)は間葉系腫瘍に属し,特に中胚葉性組織より発生するものの中で,結合組織がその発生母組織とされている良性腫瘍の1つである。結合組織はいわゆる軟部組織の一部で,線維組織,脂肪組織,血管・リンパ管,筋肉組織,そして末梢神経組織などから構成されている。それらから発生する良性腫瘍として,線維腫,脂肪腫,血管・リンパ管腫,平滑筋腫,横紋筋腫,神経系腫瘍などがあり,それらの中でもつとも発生頻度の高いものが脂肪腫である。
脂肪組織の発生は脂肪細胞の発生起源の問題を含め,腫瘍性増殖の成り立ちに関しても統一された見解がなされていないのが現状である。
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