特集 良性腫瘍
基礎
線維腫
高木 実
1
,
石川 梧朗
1
1東京医科歯科大学歯学部口腔病理学教室
pp.743-751
発行日 1977年10月20日
Published Date 1977/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208559
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I.緒言
線維腫は線維組織の増殖からなる良性腫瘍で,その頻度は良性腫瘍の中でもつとも高いとされてきたが,最近はこれらの大部分は真の腫瘍ではなく,何らかの刺激に対する線維組織の反応性増殖であると考えられ,fibrous overgrowthとよばれている。また線維組織の増殖からなる病変は臨床像,組織像などについて細かく検討すると,かなり多種類の疾患から成り立つていることが明らかとなり,線維腫の中の一群の疾患はfibromatosisとよばれるようになつた。
頭頸部の"線維腫"でも真の線維腫はきわめて少なく,fibrous overgrowthがもつとも多い。これは口腔粘膜に好発し,歯肉部に腫瘤を形成したものは線維性エプーリスとよばれる。歯肉線維腫症はびまん性におこる歯肉の線維組織の増殖である。鼻咽頭には血管線維腫が好発する。
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