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I.はじめに
眼球突出は,患者自身あるいは患者の周囲の人の目につきやすい症状であり,まず眼科医を訪れることが多い。しかし,眼球突出をきたす疾患のなかには,眼窩と解剖学的に近接し,比較的薄い骨壁で隔てられている副鼻腔がその原因となつていることが少なくない。そのため,眼科医から耳鼻咽喉科に診察を依頼されることが多い。眼窩は顔面側に向かつて骨壁を欠いているため,何らかの病変により眼窩内容が増加すると,必然的に眼球はその開放面に向かつて膨隆し,眼球突出を発来することになる。このときにある種の圧迫物の局在部位と反対方向に眼球偏位を随伴することが稀ではない。さらに眼球突出をきたす疾患のなかには,視力低下を含む視機能に障害をもたらし,遂に失明に到らせるものがある。そのため,われわれ耳鼻咽喉科医も眼科医の協力をえて一側性眼球突出を速やかに,正確に診断し,治療に移る必要に迫られることが少なくない。そこで今回,文献学的に一側性眼球突出をきたす疾患を原因別に分類し,診断の要点および手順について考察した。さらに,急激にしかも高度の一側性眼球突出をきたし,やや非定型的であつたために診断に迷わされた症例を経験したので,この自験例の診断の手順を例示した。
It is not at all unusual that patients with proptosis initially seek the consultation of the ophthalmologist. And likewise it is not unusual that such a patient would be referred to the otolaryngologist in the last analysis. The patients with exophthalmos may not only be fraught with the loss of their sight, but also, with that of their lives.
With these points in view the literatures on these subjects are carefully reviewed, by the author, in this report.
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