Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
めまいを主訴として受診する患者は多いがその発症機序を決定するのに困難をきわめる症例に遭遇することも稀でない。この診断困難なものの一つに脳および脳幹部の循環障害,たとえば椎骨脳底動脈の攣縮,狭窄などによる頭部への血流障害の症例などである。近年脳血管写の普及によりこの問題は次第に解明されてきたと同時に臨床患者中に脳血管系先天異常例がしばしば発見されるようになつた。内頸動脈・脳底動脈吻合遺残もその一つで胎生期脳血管発育過程における原始動脈が残存したもので,これらにはprimitive trigeminal artery,primitive otic artery,primitive hypoglossal arteryおよびprimitive proatlantal arteryの四者がある1)。この四者はいずれも椎骨動脈形成不全あるいは欠損を伴うため内耳,ひいては脳幹への血流が十分でなく何らかの症状を呈するはずであるが今までに報告例が少なくその臨床的特徴は明らかにされていない。
著者らは反復性回転性めまい発作を主訴に来科した患者,およびクモ膜下出血症例の脳血管写によりprimitive hypoglossal arteryと考えられる2症例を経験したのでこれら症例について神経耳科学的検査を行ない,文献的考察を行なつた。
A woman, aged 49, complaining of repeated rotatory dizziness with rotation of her head and a man, aged 67, diagnosed as subarachnoidal hemorrhage, were further subjected to x-ray examinations by visualization of the cerebral arteries. The presence of the primitive hypoglossal artery was revealed in both cases.
The authors discuss the pathology and the state in which this artery be found in detail.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.