特集 気道アレルギー
耳疾患とアレルギー
宮部 勲
1
,
小川 浩司
1
1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.881-884
発行日 1973年10月20日
Published Date 1973/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207989
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I.はじめに
中耳腔を発生学的,解剖学的に考えた場合,中耳腔粘膜は多くの点で上部気道粘膜と共通している1)2)。これは吸入性抗原によるアレルギー疾患が中耳に発生することを予想させ,実際にアレルギーを原因とする中耳炎の発生の報告も数多く見られるが,実地医家がアレルギーの面から耳疾患を診るということは,未だきわめて少ないことのように思われる。それは,鼻アレルギーや気管支喘息のようなはつきりした症候的特徴や明確な診断方法がないためであろう。
食餌性アレルギーが全身的な症候の一つとして耳疾患の中に表現されることも考えられ,またhypogammaglobulinemia, agammaglobulinemiaの際の中耳疾患をも考慮することは重要であると思われる。
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