特集 気道アレルギー
四日市における気道アレルギー疾患の特色
大山 勝
1
,
三吉 康郎
1
1三重大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.729-737
発行日 1973年10月20日
Published Date 1973/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207971
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I.はじめに
近代産業の飛躍的な発展やモータリゼーションの氾濫,さらには人口の都市過密化によつて,大気汚染は,今日,医学的あるいは社会的に大きな問題となつている。そして,これまで,大気汚染に関連する各種の障害例が報告され,これに関する臨床的,疫学的研究は枚挙にいとまがない1)-15)。しかし,発生源が単一でなく,また汚染物質もきわめて複雑多岐にわたるため,現在知られている臨床病態の中には,大気汚染との因果関係を合理的に理解することの必ずしも容易でないものが少なくない。またこれら複雑な汚染環境下で生じた身体の影響を,臨床レベルの条件で実験的に再現することは容易でなく,なお多くの未詳の問題をはらんでいる。なかでも,大気汚染環境下における気道アレルギーないしはこれに類似の疾患の成因は,なお明確な解答がえられてないのが現状である。
わが教室における大気汚染と気道疾患に関する一連の研究の中で,とくに四日市地区における上気道疾患の疫学的,臨床的研究成果を述し,併せて,その成因について,いささかの考察を加えて報告する。
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