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Ⅰ.緒言
耳鼻咽喉科領域において,気管切開は救急処置として,治療の一環として,また延命効果を目的として非常に重要かつ甚だ頻繁に施行される手術であることは今更言うまでもない。またその解剖,術式,適応,危険度などについては多くの勝れた教科書,論文,報告など少なくない17)-19)23)。しかし気切後の合併症については,その重要性にも拘らず,その報告も少なく18)23),十分な関心が払われているとは決していえないのが現状である。
気管切開の合併症は一般に小児に多いとされているが9),われわれは最近同一小児において,二度気管切開を行ない,二度とも異なつた型の合併症を起こした症例を経験した(気管内肉芽腫と両側気胸)。
われわれの知る限りでは,気管内肉芽腫は重大なかつ興味深い気切後の合併症であるにも拘らず詳細なる報告は本邦には見られず,外国にも2,3見るのみである9)10)11)。また気切後の両側気胸も同様である。その意味から本例の臨床および検査経過を詳細に述べ,合せてその他の気管切開合併症についても若干の文献的考察を加えた。
Among various complications of tracheotomy, bilateral pneumothorax and the presence of tracheal granuloma that causes stridor and dyspnea are the most troublesome.
A boy, aged 4, who suffered from dyspnea owing to tracheal granuloma following tracheotomy performed 3 months ago, was subjected to another tracheotomy for removal of the cause. A severe pneumothorax followed this operative procedure. A bilateral pleural puncture with establishment of drainage for 3 days saved the patient's life.
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