薬剤
平衡失調を中心とする耳科疾患の二,三にBetahistineを使用してみて—特にその作用機序に関する考察
三島 憲
1
1市立岡崎病院耳鼻咽喉科
pp.397-402
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207466
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I.はじめに
Betahistine(メリスロン)はヒスタミン類似の化合物であるという。而して経口投与が可能であるという。過去においてヒスタミンを治療に用いる時は煩雑なる点静法または皮下注射法による他,仕方のないものとされていたところ,かかる簡便なる使用法の開発をみたことは大いなる飛躍でもあり,また副作用の点でもショックなどの不快例をみないことは一種の驚異とさえ思えるのである。
1962年にHortonが始めて本剤の経口投与の途を開き,1965年,および1966年にはGodlowsk,また,Eliaによつてメニエール病などに使用されその効果は次々と実証されてきている。
而してその薬理作用とするところは内耳血管系の血行改善,ならびにその異常透過性の正常化にありといわれ一般に内リンパ水腫と考えられている上記メニエール病などに適用せられたのでもあるが,さらにその他種々の原因による平衡障害にも効果があり,難聴,耳鳴などにも使用せられた報告をみるに至つた。
ここにおいてわれわれも数種の耳科的平衡失調を主訴とする疾患ならびに感音性難聴症にも使用してみる機会を得たのでその結果について報告する。
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