海外だより
北欧における耳鼻科の現況について(1)
形浦 昭克
1,2
1札幌医科大学
2現在 ヘルシンキ大学耳鼻科
pp.293-295
発行日 1969年4月20日
Published Date 1969/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492207282
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
横浜からナホトカ航路であるハバロスク号に乗つた私は,船・航空・鉄道と変化を富ませて欧州の最初の入口であるヘルシンキに着いたのは,札幌を離れて9日目の8月31日であつた。今,思えば,汽車の窓からうつるフィンランドの郊外は,非常に明るくどの家の軒先にも花を並べ,如何にも裕福であろうと思われる農家の連続が印象に残つている。此度,ヘルシンキ大学耳鼻科にての留学の機会を得た私は,9月2日,Professor Dr.UrpoSiiralaおよびDr.U.K.Kivirantaにお会いし,6カ月間の臨床および研究の概略を説明され,第1日目を期待と不安にかられ,なお,北国とは言え,残暑を感じる病院内を汗をかきながら走り回つたのも昨日のように思われるが,すでに2カ月が過ぎ去ろうとしている。従来,アメリカ,西欧における医学事情については,多くの先輩諸氏の報告が見られるのに比して,国状から言つても見習わなけわばならない北欧に関するものはほとんどなく,ここに私なりに耳鼻科を中心に見学あるいは印象と言つたものを綴つてみたいと思い,筆を走らせている次第である。
私は,ヘルシンキに着いて1カ月位して,フィンランドの耳鼻科学会に出席する機会を得たので,まずこのことから触れてみよう。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.