鏡下耳語
私の考える専門医
小倉 脩二
1
1日赤中央病院耳鼻咽喉科
pp.1000-1001
発行日 1968年12月20日
Published Date 1968/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204041
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私の勤めている病院の初診室の一隅に当科開設当時の器械とカルテが記念品として陳列してある。その器械をじつと見ていると79年後の現在,私が毎日使用している器械と大差がなく,むしろ黒くてメツキのない耳漏斗を手術でなく,日常の診療にも使つている点などはるかに合理的にさえ思える。そしてカルテは和とじ,縦書き,和紙,達筆な墨字で書いてある。カルテを読めば当時の診療の様子が目に浮かぶようである。
しかもこの耳鼻科診療は日本最初で明治23年2月に始り,初代主幹(部長)は賀古鶴所先生で以後山上兼輔,岩田一,増田胤次,岡部剛二の諸先生で颯田先生もしばらくの間ですがおられたことがある。昭和33年4月から私が受け継いでおり,どうも現在の私では大分質が低下してしまつて,申し訳けないが,病院における耳鼻科の特色について,多くの病院の耳鼻科部長(東京地区)の考えと私の考えをあわせて述べてみる。
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