特集 最近の薬物療法と問題点
序文
西端 驥一
,
大藤 敏三
pp.731
発行日 1968年10月20日
Published Date 1968/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204005
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小春日和に縁側で草根木皮を始末していた漢方時代から見ると現代の薬は画期的な進歩を見せた。それなのに漢方ブームが起こつていることは,底によどんでいる民衆の新薬に対する不満,不信の表われでもあろう。
薬九層倍とは過去の話で,2,600個の化合物のうち臨床までたどりつくのが40個,その中から新薬として市場に送り出されるのが1個,それに6年,数億円がかかる(佐久間氏)というきびしさ。そうかと思うと,多数の成分やビタミンをズラリと揃えて大衆保健薬として発売する。そのためか個人所得第1位とか,会社としての所得第1位とかが生まれ,週刊誌で紹介されたり,大臣になつたりする。これは薬の良否の問題ではなく経営と販売系統との問題だ。
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