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Ⅰ.はじめに
幼小児の難聴は伝音系の障害によるものが非常に多いので,難聴児に対する詳細な問診や検査がともすれば軽視されているようにおもわれる。しかるに最近幼小児の他覚的聴力検査の発達とともに,種々の程度の感音性難聴もかなり含まれていることが明らかとなつてきた。この中には文明の進歩により,ストレプトマイシン(以下ストマイと略す),マイシリン,交通事故による頭部外傷などの予防できる「後天性」の原因により惹き起こされたと考えられるものが相当数あるようにおもわれる。一方,流行性耳下腺炎や麻疹によるものもまだ減少の傾向はみられない。
感音性難聴は伝音性難聴と異なり,いまだに決定的な治療法がない現状にあるから,予防的見地から「後天性感音性難聴児」の統計的観察をすることは少なからぬ意義があると考えられる。しかし今日までこの問題のみを詳細に調査した報告はみあたらない。
そこで今回われわれは最近5年間に当科を訪れた幼小児のうち「後天性感音性難聴児」と考えられた97名について調査したところ,興味ある成績をえたので報告する次第である。
Statistical observations arc made on 97 children, aged 4 to 13, comprising of 38 females and 59 males, who in their infancy were diagnosed as being affected with acquired perceptive deafness. As traceable causative factors 16 cases appeared to be due to the use of streptomycin, 12 cases due to measles and 9 cases due to mumps. The causative factors of all cases were considered in the light of other reports published in the literature.
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