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I.はじめに
咽喉頭部に異常感を訴える患者は近年しだいに増加の傾向にあるように思われる。それは人間の生活環境の複雑化にともなう精神的因子にもよるであろうが,さらに大気汚染による影響1)でことに都会生活者の咽喉頭部には潜在性の炎症を生じ,それが局所的原因の一つとなることも考えられる。つまり異常感の原因を全身的因子による場合と局所的因子による場合とに分類した場合,その局所的因子のうちでも潜在性の因子となるものもあり得るであろう。かかる意味合いから咽喉頭異常感患者の局所粘膜に於る肉眼的には明らかでない病変を組織学的に追求することは無意味ではないと考える。しかし咽喉頭部の粘膜を一部分切除してそれを組織学的に検査することはきわめて困難である。それはこのような切除を行なつたことにより,かえつて局所の瘢痕化をきたし症状は増悪するであろう。そこで著者はまず検索の糸口として以下の方法をとつた。すなわち病歴上,咽喉頭に異常を特に訴えない屍体をアトランダムにとり,その咽喉頭部粘膜の組織を検査してみた。
Through the model of the throat constructed for the study of the flow of air current in the pharyngolaryngeal region, it was revealed that such a current struck the following anatomical parts in succession : posterior pharyngeal wall, epiglottis, cartilagenous larynx, glottis, subglottis and the valleculum.
Microscopic study of the mucous membrane of this region, particularly posterior pharyngeal wall, epiglottis and valleculum, obtained from the 48 cadavers of persons, taken at random, who did not in life suffer any abnormal symptoms in the throat, showcd some cystic and hypertrophic degeneration in the ducts of the racemous glands.
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