薬剤
非ステロイド性消炎剤インダシンの耳鼻咽喉科領域における使用経験
井出 靖夫
1
,
市川 瑞雄
1
,
肥留川 恒樹
1
,
古屋 英彦
1
1東京医科歯科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.71-76
発行日 1968年1月20日
Published Date 1968/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203904
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I.はじめに
耳鼻咽喉科領域において取り扱う疾患は,硬組織に囲まれた部位や狭い間隙におこるものが大部分を占めている。そしてたとえば炎症などに伴う腫脹,浮腫などが,多少なりとも残存している時は,その疾病の治癒が著しく遷延あるいは阻止せられて,自覚症状の改善も得られないことは,日常多く経験するところである。従来このようなものも含めて,一般に手術後および炎症に伴う腫脹および炎症性疾患の治療の目的で,副腎皮質ホルモン剤をはじめとして,いくつかの薬剤が使用されているが,なかんずく,副腎皮質ホルモン剤は副作用あるいは該剤よりの離脱などの点に関して,なおいくたの問題を含んでいるのが現状である。
このたび日本メルク万有株式会社より試供をうけた非ステロイド性消炎・鎮痛・解熱剤インダシン(インドメサシン)は,すでに慢性リウマチをはじめとして,各種リウマチ疾患にすぐれた効果を示すものとして,内科・整形外科領域では広く使用されている。前述したように耳鼻咽喉科領域では,ささいな腫脹・浮腫でも不都合な場合が多く,本剤の基礎的研究結果からしても,当科において当然適応さるべき疾患ありと予想し,2〜3の耳鼻咽喉科疾患に対して投与を試みたところ,見るべき効果が得られたので,ここに報告する。
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