薬剤
耳鼻咽喉科領域における緑膿菌の薬剤感受性に関する知見
岩沢 武彦
1
1札幌逓信病院耳鼻咽喉科
pp.1251-1259
発行日 1967年11月20日
Published Date 1967/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203856
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Ⅰ.緒言
諸種の感染性疾患に対する化学療法は,近年相つぐ抗生物質の研究開発の結果,それら薬剤のすぐれた抗菌作用により,括目すべき臨床効果をあげ得たが,他面抗生物質の普及発展にともない,感染症の様相もしだいに変貌するにいたつた。
感染症のうちでも,起炎菌が,ブドウ球菌,溶血性レンサ球菌,肺炎球菌などのGram陽性球菌感染症,ことに,耐性ブドウ球菌感染症に対しては,従来のPenicillin,Macrolide系,Tetracycline系,Chloramphenicolなどの既存の抗生物質でも,かなりの抗菌効果が期待できた。しかし,これら古典的抗生物質に加えて,新たに登場してきた各種合成Penicillin誘導体,Triacetylspiramycin,Lincomycin,合成Cephalosporin Cなどの新規の抗生物質の出現によりさらに一層すぐれた治療成果が得られ,耐性ブドウ球菌を始めとするGram陽性球菌感染症は,一部は次第に減少の傾向がみられるようになつてきた。
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