緑膿菌に関する基礎的知識

FUNDAMENTAL INFORMATIONS ON PSEUDOMONAS AERUGINOSA

　Ⅰ．まえがき

　緑膿菌Pseudomonas aeruginosaによる感染症がわが国において臨床医学や臨床細菌学の分野で大きな注目をあびるようになつたのは，ここ数年のことではないかと思われる。もちろん，古い以前から，緑膿菌による化膿は外科あるいは耳鼻科などで知られはしていたが，一般に化膿性球菌といわれるブドウ球菌や，レンサ球菌あるいはいわゆる大腸菌群によるものにくらべるとその頻度も少なく，ただその治療の面でてこずる症例が多いということが知られていたにすぎない。それでは，最近になつて本菌による感染症が次第に増加してきた理由はどこにあるのだろうか。その辺のところから話を進めてゆこう。

　Taking staphylococcus aureus infection as an example, the process by which superimposition of secondary pseudomonas aeruginosa infection takes place over other organisms already present is discussed. Clinically the rate in which pseudomonas aeruginosa is found from aural discharges of chronic otitis media is studied and their response to antibiotic treatment is discussed.