旅行記
北海道旅行記
西端 驥一
1
1慶応大学
pp.667
発行日 1966年6月20日
Published Date 1966/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203616
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たぶんDevis教授の歓迎会の席上であつたと思うが,隣席の浜谷教授に札幌の雪祭の話をして見事なものらしいですねと賞めた。「では今度ご招待しましょう」と教授は笑つておられたがその後,雪祭の時に地方会をやるから何か話をしてくれという手紙が来たので,嬉しくもあつたが一寸当惑もした。なにしろ寒がりのわたくしがこの老齢で名だたる雪の北海道に出かけるのであるから,考えざるを得ない。友人の西洋美術史家の板垣鷹穂君が「その齢で冬の北海道に行くのかい」と呆れた顔をした。しかしわたくしは人の好意には弱いし,妙に決断が早いところがあつて喜んで応諾したのである。
昭和41年1月29日午後4時20分(?)59便の全日空機であつた。実は全日空と知つて少しばかり厭やな感じがした。事故が多いという記憶があつたからだが59便という数字も理由はないが厭やであつた。しかし招待では我儘はいえない。飛行機に入ると機長が高橋という人だとアナウンスされた。
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