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Ⅰ.まえがき
感音難聴の治療に用いられる薬物は極めて多いが,最近の傾向として,内耳エネルギー代謝の改善,組織細胞賦活等を企図する方法がとられるようになつて来た。その代表的な薬物はATPであろう。障害された内耳組織に対しATPが血行改善,燐及び糖代謝等の面で有効に作用することは実験的に確認されており,臨床的にも各種感音難聴の治療に使用され,すぐれた効果が認められている。われわれもすでにその治療成績を報告した1)。しかし,この感音難聴に対するATPの治療効果には一定の限界があり,それを打開して成績の向上を図るためには,種々の検討,工夫が必要である。すなわち,ATPの使用量や併用療法等の問題が重要であると考える。
数年来,われわれはATPの使用量の検討を目的として,従来慣用されている量及び目数の数倍に及ぶ大量療法を初めて試み,感音難聴に対する効果を検討し,はじめてその成績の一部を,昭和37年9月11目のATP研究会の席上で報告し注目をあびた。その後,症例数が増加したので,今回その成績をとりまとめて報告すると共に,ATP大量療法の意義について考察したい。
For treatment of nerve deafness the authors employed massive doses of ATP; it was suc-cessful in 59% of the 20 cases, 27 ears thusly treated. Particularly was it successful in tre-atment of cases of sudden deafness such as Meniérre's disease and deafness due to traum-atic head injury. There was hardly any side effects from the use of the agent.
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