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Mayoの小児科と耳鼻科とから,慎重な準備ののち5群とす。(1)benzatkine penicillin G 60万,プロカインペニシリンG 30万,potassium penicllin G 30万をふくむ注射96例,(2)テトラサイクリン6.81mg/kg 1日4回7日経口94例,(3)declomycin 4.54mg/kg 1日4回7日経口96例,(4)Ilosone 9.08mg/kg 1日4回7日経口90例,(5)複合サルファ剤Terfonyl 27.24mg/kg 1日4回7日経口87例という組み合わせである。年令,性別,有熱,鼓膜穿孔,咽頭培養などの条件は5群大体おなじである。治療後再検査して治療不成功の率は(2)群6%で最低,(4)群14%,(1)群・(3)群15%,(5)群22%で,(1)・(3)・(4)は有意差はないが,(2)・(5)とは有意差である。年令・性別では差は生じていない。中耳炎は3〜6歳の男児に多いが,ビールス感染の可能性もあつて抗生物質療法を行わない向きが少くない。しかし抗生物質療法を加えないグループからは乳突炎・髄膜炎がより頻度高く発生する。そこで催炎菌を確かめて後に抗生物質療法を行うのがよいとおもわれる。しかし鼓膜穿刺で菌を得るのも,咽頭から菌を得るのも適切でない不利がある。文献では,肺炎双球菌が最も高率で,β溶連菌,インフルエンザ菌などが次ぐという。してみるとペニシリンが有効な筈だが,インフルエンザ菌にはペは無効であり,著者のレンサ球菌20〜40%はテトラサイクリンに抵抗性であつた。それでテラマイが最も奏効率が高かったけれども,ペニシリン・エリスロマイシンと有意の差があるようには見えなかつた。ただサルファ剤よりは確かによかった。Benson(J. Laryng. 75:733,1961)はサ剤とペとで差がないとし,Schmidt(Acta Otolaryng. Suppl. 140,1958)はテラマイがすぐれているとしている。Handfield-Jones(Lancet 1:947,1962)の成績が著者に一致した。
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