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Ⅰ.緒言
1944年Schubert1)は閾値またはそれよりわずかに強い持続的純音を各種の感音系難聴耳にきかせたところ,特に1,000cps以上の高音域において音感が速かに減弱消失して行く現象を見出した。更に彼は20分間の持続音刺激に際しての閾値上昇値を測定し,それらの感音系難聴耳では上昇値25dbに達するもののあることを報告した。この現象(以下簡単にTTDと称する)はその後Jatho2)(1954),Hood3)(1955),Carhart4)(1957)田口5)(1957),Dieroff6)(1958),大和田等7)(1958),村越,武田8)(1959),立木,小関9)(1959)Bocca & Pestalozza10)(1959),Yantis11)(1959)Sφrensen12)13)(1960,1962),後藤,前田14)(1960)高倉ら15)(1960),Pestalozza & Cioce16)(1962)(Pestalozzaらによるとこの他イタリー語による報告が若干ある)らにより検討され,確認されている。
上記の報告は普通の純音オージオメーターを使用してなされたものであるが,一方1952年Reger & Kos17)は自記オージオメーターによる固定周波数閾値が,主として後迷路性難聴耳において,時間とともに上昇する現象を見出し(以下TTSと称する),その後本現象はDix & Hood18)(1953)Lierle & Reger19)(1955),Kos20)(1955),Palva21)22)(1955,1957),立木23)24)(1955,1956)志井田,田口25)(1955),田口26)5)27)(1957,1960)Jerger et al. 28)(1958),Yantis11)(1959),小関29)(1959),立木,小関9)(1959),Jerger30)(1960),Harbert & Young31)(1962)らにより検討され,多くの研究者は本現象が特に後迷路難聴に著明に認められることについて述べている。
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