鼻腔平滑筋肉腫（Leiomyosarkom）の1例

　肉腫には何れの非上皮性の組織にも類以を求め得ない全く未熟な肉腫と未熟ではあるが幾分分化した構造を持つ肉腫とがある。後者の場合はその類以した組織の名を冠し夫々線維肉腫，粘液肉腫，骨肉腫等と呼ばれている。鼻腔の悪性腫瘍は殆んどが癌腫で，肉腫は非常に少なくその報告が散見されるに過ぎない。報告された肉腫の種類は細網肉腫，黒色肉腫等が殆んどであり，その他の腫瘍は稀である。鼻腔筋肉腫の報告は外国に於ては時々見られるが，我が国に於ては私が調べた範囲では1例もない様である。私は最近鼻腔筋肉腫の内更に稀有である平滑筋肉腫の1例に遭遇したので，2.3の文献的考察を加え報告する次第である。

Tumor was found in both sides of nasal cavity in a man,aged 29,which proved to be leiomyosarcoma under tissue examination.The treatment of the case consisted mainly of X-ray irradiation of the affected parts,except the submandibular region where metastasis occurred the removal was attem-pted by means of surgery.The patient died in 17 months of his illness.