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耳鼻科医による笑気全身麻酔の経験
高原 定幸
1,2
1信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2国立松本病院耳咽鼻喉科
pp.607-610
発行日 1962年7月20日
Published Date 1962/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202884
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I.緒言
耳鼻科領域の手術は部位的関係より感覚器の主要なものを含み,狭い術野で手術操作が細かく,又疼痛閾値が低く,麻酔の良否がしばしば手術の成績を左右する為,手術と共に麻酔に就いても深い関心が払われて来た。
特に戦後麻酔学の進歩により我国に於ても全身麻酔が著しく普及し,耳鼻科領域においても黒須中村等の閉鎖循環吸収麻酔法,吉田小川等の吹送法,岩月のエーテルを用いた気管内吹送法,一柳によるフローセンを用いた方法等が報告された。勿論全身麻酔は,麻酔管理を十分にする為に専門の麻酔医によつて実施されることが望ましく,又事実その方向に進んでいることは,よく知られている。併し麻酔の為に十分な人手の得られない場合もあり,このような時に術者が麻酔をも担当せざるを得ないのは,好ましい事でないにしても,やむを得ないものと思われる。
Takahara reports an account of his experien-ce in supervising the anesthesia of the patient while performing tympanoplasty. The agent of anesthesia was nitrous oxide gas.
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